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「どこからでもどーぞ?」 あたしを見つめ、なにやらニコニコしている深月くん。とても楽しそうである。 こっちはさっきからドキドキしてばかりだというのに、なんだかひとり余裕そうなその表情に悔しくなった。 やっぱり、こんなにドキドキしてるのはあたしだけだよな…。 ちょっとだけメンタルが揺れそうになったけど、ここはもうサクッと洗ってあげて早くお風呂から出よう!と気持ちを切り替える ボディーソープへと手を伸ばし、泡で出てくるタイプのそれを、えいっ、と深月くんの胸元へとくっつける。 泡越しに深月くんの素肌へと触れる。 あたしとは違う、柔らかさのないそれに男らしさを感じる。 すると、深月くんもまたあたしの身体を触り出すから「ひゃっ、」と思わず声が出てしまった。 「くすぐったい?」くすくすと笑いながら優しくあたしの顔色を伺うように顔を覗き込まれる。 「う、うん。…あの、恥ずかしすぎてどうにかなっちゃいそうだから、深月くんにぎゅってくついちゃだめ??」 と、あたしと目と目があった状態のままの深月くんへとお願いをしてみる。 だって、こんな泡ごときでは殆ど丸見えと言っても過言ではない。しかもこんな明るいお風呂場で大変目のやり場に困るし、隠したいところも碌に隠せやしない。 その点、ぎゅっと前からくっつけばお互いでお互いを隠しあえて全てが解決する気がした。 そんなあたしのお願いに「……。」と、一旦無言になる深月くん。 あれ?ダメだった? 「あ、だめだったら別に、、、」諦めようと出した言葉は「いや…、いいよ。」と、あたしの言葉に少し被せ気味で発せられた深月くんの返事によって遮れる。 「え、あ、いいの?」断られると思っていただけになんだか素っ頓狂な声が出てしまった。 「うん、まさか雪乃ちゃんからそんな積極的な提案してもらえると思ってなかったからすごい嬉しいよ。」 「え…?(何が積極的?)うわっ、、、っ!」 あたしの腰とお尻へと手を回すと、それをグッと少し持ち上げるように引き寄せ、深月くんの脚の上へと乗せられる。 …、あれ?これ、なんかミスったな?
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