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そんなやり取りをしているあたし達の間に
「ねぇ、深月、忙しいのにお仕事の邪魔しちゃダメだよ。…ね、西さん?」
と、やたら女を主張したファッションのなんとなく見たことのある顔の女が会話に割って入ってくる。
…誰だっけ。なんかこのドヤ顔見たことあるんだよな、、、。と記憶を巡らせる。が思い出せない。
そんなあたしに
「あー…、そうだよね。呼び止めちゃってごめんね雪乃ちゃん。」
と、何らや申し訳そうに深月くんに謝られる。
「全然大丈夫だよ。…じゃあ、ごゆっくり。」
笑顔は絶やさずそう告げると、くるり、その場をあとにした。
注文の入ったドリンクをつくりながら、話しかけてきた女が誰だったか思い出せそうで思い出せなくてひとりずっとモヤモヤしていると
「ゆっきー、あの卓知り合い?」
と、力に話しかけられる。
「ん、まあ。そう、かな?」
ほぼ知らないけど。
「へぇ〜、じゃあさっき話してたイケメンは彼氏?」
「…ちがう、けど。」
「そなの?なんだ〜、修羅場かと思ったのにつまんねぇ。はぁ、いいなぁ合コン。俺もかわいい子と知り合いてぇ」
こいつはなにやら人の修羅場を期待していたらしい。ゲスいな。と内心思いながらも
「じゃあ混ざってくれば?」
と、軽くあしらう。
悪いがこちとらそんなに機嫌は良くないので、できればあまり話しかけてきてほしくない。
店内も段々と賑わいをみせてきている。
出来上がったドリンクを力へと託し、カウンター席のお客様へと対応する。
そんなあたしを、店長がキッチンへと呼び入れる。何事かと思えば、
「雪乃ちゃん、あの卓知り合いなんだって?これサービス。よかったら持っていってあげて。」
と、ウインクつきでフィッシュ&チップスをあたしに手渡す。
うわ、なんていらんことを、、、。
内心こう垂れながらも「え〜、すみません。ありがとうございまーす。」と、それを笑顔で受け取り、なんとも重たい足取りで深月くんたちの席へと向かった。
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