いち

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「なんか、深月くんってエロいよね」 気づいたときにはそう口走っていた。 「…それは、誘ってる?」 「え、いや素直な意見。ごめん、これってセクハラ?アルハラ?」 「さぁ?別に俺は嫌な気分になってないから大丈夫じゃない?」 その一言にホッと胸を撫で下ろす。 「ならよかった、じゃあセクハラついでにちょっとだけ腕触ってみてもいい?」 先ほどのセクハラ発言が許されたため、調子に乗ってお触りをおねだりしてみた。 さすがにちょっときもかったかな? じっ、と深月くんの反応を伺う。 あたしの発言に少し考えあと 何を思ったのか深月くんの指先があたしの髪を撫でるように耳にかけた。 ビクッ 触れられたところが熱を持って反応する。 交わった視線、何故だか逸らせなかった。 不意に顔が近付いてくる。 そしてぴたり、あたしの耳元で止まると 「…いいけど、なら、ホテル行く?」 そっと甘美な誘惑を囁いた。 「え、」 深月くんの吐息が耳にかかる、瞬間あたしの全神経がそこに集まったんじゃ無いかと錯覚するくらいに熱くゾクゾクした感覚が走った。 「嫌ならいいけど、どーする?」 この時、理性なんてものはもはや仕事をしていなくて、あたしに黙って頷く以外の選択肢なんて無かった。
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