ろく

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おしぼりを大量に抱えて戻ると 「あーん、冷たぁい。足にかかったぁ」 と、うるさいくらいに静香が主張している。 仕方なく「これ、使ってください。」と、おしぼりを差し出しだすと、それをちらり見るだけで受け取ろうとしない静香。 おい、どうした。冷たいんじゃないのかよ。と 心の中のあたしが静香へとつっこむ。 「あの、使わないんですか?」 一向に受け取る気配がないので、もう一度声をかけるがそれもシカトされた。 ので、あっそ、ならもう知らね。と テーブルの上にドサッと、おしぼりを置き 「ここに置いておくので、よかったら使ってください。」 そう一言だけ伝え、せっせと濡れたテーブルの上を片付ける。 すると、深月くんも「ごめんね、手伝うよ。」とあたしの隣へとやってきた。 「え、あ、いいよいいよ、深月くん汚れちゃうかもだし。」 そう言って、断ろうとしたが 「ちょっとでも雪乃ちゃんと一緒にいたいから やらせて?」 と、さっきまでのあたしのブルーな気持ちをたった一言で瞬時に塗り替えてくれた。 やばい、胸のトキメキが止まらない。 「…ありがとう。」 なんとか感謝の言葉を絞り出し、中断していた片付けを再開する。 「ねぇ、雪乃ちゃん今日は何時終わり?」 粗方テーブルを拭き終わったころ、深月くんがあたしへと話しかける 「えっと、、、今日は0時までだよ。」 「そっか。まだまだだね。頑張ってね。」 「…ありがとう。」 ちょっとだけ、この後誘ってくれるのかなって期待したけど、もしかしたらこの中の誰かと約束してるのかもしれない。 お願いだから静香だけはやめて。と心の中のあたしが深月くんへと訴える。 が、声に出さない限りそんなこと伝わるはずもないし、そもそもあたしはそんな事言える立場ではない。 はぁ、やめよ。考えただけで先ほどのブルーな気持ちが蘇り、むしろ今の方が悪化している気すらした。
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