いち

12/19
前へ
/153ページ
次へ
「シャワー、先に浴びてくる?」 ラブホの一室、ソファに腰掛け深月くんがあたしに問いかける。 「ん、入ってきてもいい?」 「どーぞ、ごゆっくり」 どこか余裕そうに優しく微笑まれる。 「あ、でもその前に、、、」 「…?」 くるり、浴室に向かいかけていた身体を反転さて深月くんの座るソファまで再度近づいて、当初の目的?であった腕にそっと触れてみる。 思っていた通り、程よく筋肉がついていて腕の筋が綺麗に出ていた、すっと筋に沿って撫ぜてみる。 ぴくり、深月くんが反応する。 「あ、ごめん、深月くんの腕忘れる前にちゃんと触っておこうと思って」 女性には無い男性特有の触り心地が好きだ、これがフェチというのだろうか、深月くんの腕はあたし好みの腕だった。 「あぁ、そういえば…、触り方がエロかったから早くシタいのかと思っちゃった」 あたしの返答に意地の悪い笑みを浮かべる チラリ、唇の隙間から八重歯が覗いた。 噛まれたい 脳内を変態な考えが占領する。 「っ、お風呂、入ってくる」 このままだとやばい、とりあえずシャワーを浴びて理性を取り戻さないと。 逃げるように浴室に向かうあたしの後ろで、楽しそうに喉を鳴らして笑う深月くんの声が聞こえた。
/153ページ

最初のコメントを投稿しよう!

677人が本棚に入れています
本棚に追加