ろく

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次の日、今日も今日とてバイトがあるあたしはお昼頃には深月くんの家を後にして、自宅へと帰ってきていた。 昨夜は急ではあったけど、深月くんと久しぶりに会えたし、いろいろ激しい感じだったけど、まあそれは、うん、置いといて。 深月くんとの関係もそろそろはっきりさせなくちゃかな。なんて、そんなことを思っていた。 だって、会えば会うほど深月くんを好きだという気持ちは大きくなっていくし、このままずっと隠し続けるのはそろそろ無理な気がしてきていた。 なんの縛りもないこの関係を終わらせて、深月くんのことを独り占めできる。そんな特別があたしは欲しい。 なんて、そんなことを思ってはみるけど、それを実際に深月くんに伝えるとなると、どうすればいいのか。 ぶっちゃけ告白なんて人生で一度も経験したことがない。 「好きです。あたしと付き合ってください。」 とでも言えばいいのか? なにそれ、普通に今更すぎて言える気が全くしないし、深月くんを目の前にしてその言葉をはたして本当に言えるのか?いや、言えない。 誰かに気持ちを伝えることがこれほど勇気のいることだとは思ってもみなかった。 それからバイト先に行くまでの間、そんなことをひとりひたすらに考えていた。
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