ろく

19/20
前へ
/159ページ
次へ
今日もたっぷり働いて、時間になったので挨拶と支度を済ませてさっさと外へ出る。と 「よっ!おつかれ。」 先に上がったはずの力が外壁にもたれ掛かりながあたしへと声をかける。 まるで誰かのことを待っているかのようなそれに 少しびっくりしながらも「お、おつかれ。」とちょっと引き気味に返した。 そんなあたしの表情から感情を読み取ったのか 「ちょっと〜、そんなに引かなくたっていいじゃん!今日ゆっきー女の人と揉めてたから一応心配して待っててやったのにさぁ?」 と、なにやらあたしの身を案じて待っていてくれたようだった。それはちょっとだけ男前じゃん。と内心少しだけ力のことを見直した。 「そっか。ごめん、ありがとねっ」 そう謝りつつも力の元へと近づいていけば 「へへっ、いいよん。んじゃ、帰ろっか!」 と、促されたので「うん。」と返事をして2人並んで駅までの道を歩く。 あ〜、今日も疲れた、、。と思いながら歩くあたしに向かって、徐に力が口を開いた 「ねえ、ゆっきー、今日あの女の人と話してた中に出できた男の人って、彼氏じゃないんだよな?」 その言葉に、ぴくり、体が反応したけど 「ん?どした急に。」と、その質問には応えずにそう聞き返した。そんなあたしに斜め上から視線だけ寄越すと 「ん〜、ぶっちゃけ俺ゆっきーのこといいなって思ってたからさ、彼氏いるならあれだけど、そうじゃ無いなら俺のことも少し考えてみてくんない?」 なんて、急にぶっ込まれて思わず歩いていた足が止まった。
/159ページ

最初のコメントを投稿しよう!

683人が本棚に入れています
本棚に追加