ろく

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「えっ、、、。ごめん、それは、、」 申し訳ないがその気持ちには応えられそうも無いので、お断りをしようと思ったのに、 「ちょいまった、まだ振らないで!俺のアピールタイム少なすぎな?別に今すぐゆっきーとどうこうなりたいわけじゃなくて、俺のことも男としてみてほしかったていうか、、、。 だから、とりあえずこれからは俺も雪乃って呼ぶから、少しずつでも意識していって?」 そう言って、最後は少し恥ずかしそうにハニカムと、電車無くなる前に行こっか。と、あたしの手を取って少し駆け足で進み出す。 「えっ、ちょっと、手!」 さすがにこれは、と思いグッと引っ張るけど意外に力強いその手に捕まったまま、逆に引っ張られるように前へと進まざるを得なかった。 男らしく意外と強引な力の新たな一面に少しだけ、可愛い顔しててもこいつも男なんだなと実感させられた。 力とは使っている路線が違うので、改札の前でお別れとなる。 そこでようやく掴まれていた手が離され 「じゃあ、また明日もバイトだよな?雪乃に会えるの、楽しみにしてる!」 そう言ってあたしの目を見て可愛い笑顔で微笑む力へと「えっ、あ、うん。」なんて、あからさまに戸惑っている返事を返したあたしを笑ってから、 何を思ったのか知らないが、あたしの頭に手を乗せ少し乱雑に撫でると 「ふはっ、戸惑ってる雪乃かわいすぎ!じゃあまた明日な!」 そう言ってそこから手を離し、くるり振り返りそのまま帰っていった。 え、なにこれ。乱れた髪を直しながら、予想外すぎる展開にひとりあたしは戸惑っていた。
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