なな

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なな

季節は9月へと差し掛かり、無事にバイトの子も増えたことで、あたしの鬼連勤が少し落ち着きを見せ始めていた。 そのこともあり、明日は深月くんとご飯を食べに行く約束をしていて、その後はそのままお泊まりの予定となっている。 これってやっぱりデートだよね? と、気分は高まっている。その一方で、力からのまさかの告白まがいの出来事があってからというもの、あたしへの随分とオープンな愛情表現にここ最近は悩まされていた。 別に力のことは嫌いじゃない。でもそれは人として、友達としてであって、異性の恋愛的な意味としてではない。 だから早めにお断りしたいのだけれど、なかなかタイミングが見当たらないし、ちゃんと告白されたわけでも無いのにこっちから断るのもなぁ。とひとりもやもやを募らせていた。 あたしと深月くんの関係も未だ曖昧なままだし、何ひとつはっきりしてることがない。 なんとも曖昧な自分の今の現状にため息が出た。 そんなことを考えながらも、今日もバイトをこなす。ちなみに今日のシフトに力は入っていないため、比較的平穏に業務に勤しめていた。 そして滞りなく業務を終えて、帰路に着く為裏口から退店する、が 「あっ、雪乃、おつかれ。」と、最近こういうことあったな。なんて思わせられるようなデジャブに遭遇した。 「え、力何でいるの?」と、思ったことを素直に伝えれば 「さっきまでこのあたりで友達と飲んでたんだけど、解散するってなった時に、丁度雪乃のバイトが終わる頃だなと思ったらなんか会いたくなって待ってた。」 そう言って可愛らしい顔にニカッと笑みを浮かべてあたしへと笑いかける。 これまたなんともストレートな物言いに「えっ、、そう、なんだ。」と思わずたじろいでしまう。 けど、これはお断りする絶好のチャンスなのでは?と瞬時に閃き、気持ちを立て直した。
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