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タッチパネルでメニューを選び、料理が運ばれてくのを待つ。
「雪乃、今日ちょっと無理矢理誘ったのに着いてきてくれてありがとな!」
心底嬉しそうな表情でそうお礼を言われる。
ただちょっと成り行きで着いてきただけなのに、何でこんなに嬉しそうなんだろう。
あたしこれからこの人に、あなたの気持ちには応えられません。って言わなきゃいけ無いの?
ちょっと、無理かも。
「…、別に。力が奢ってくれるって言うから、着いてきただけじゃん。そんなに嬉しいの??」
ずっとあたしのことを見ながらニコニコしている力に思わず、そんなことを聞いてしまった。
「ははっ、そんなの当たり前じゃん!本当に嫌なら雪乃って絶対に来てくれないだろうし。同じ好意じゃないとしても俺との時間を受け入れてくれてるんだって思うとすげえ嬉しいよ。」
力って凄い。あたしだったら好きな人、ましてや片思いの相手に対してそんなにストレートに自分の気持ちなんて伝えられない。
「そこまではっきり言われると、何て返していいのか分からなくなるんだけど、、、。」
別に、照れているわけじゃ無いのに、あまりにも真っ直ぐな力の物言いにこちらの調子が狂わされる。
そんなあたしのなんとも罰の悪そうな表情に目を細めて笑うと
「雪乃はさ、今まで通り普通にしててくれたらいいから。あとは俺がそれをただ愛おしく感じて、雪乃に気持ちを伝え続けるだけ。な?」
と、なんとも優しい表情で言い切った。
こんなの、一体どうしたらいいと言うのだ。力のあたしへの想いに断ることも受け入れることもできずに、只々困惑することしかできなかった。
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