なな

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その後運ばれてきたうどんを食べながら、他愛のない話をしてお腹も満たされた事だし、奢ってくれるという力のお言葉に甘えてお会計を済ませると、お店を出た。 「力ごちそうさま。ありがとね。」 隣を歩く力に向かって再度お礼の言葉を述べれば 「このくらいいつでも奢ってやるよ!また行こうな!」 と、満面の笑みでそう言葉を返される。 いつも真っ直ぐな気持ちを伝えてくれるそんな力の言葉に、いつの間にか自然と笑顔になっているあたしがいた。 でもこれは別に好きとかじゃ無いんだよなあ。 なんて、そんなことを思いながらも 「ん。じゃあ今度は高級焼肉でお願いね?」と冗談を返す。 しかし、そんなあたしの返答にめずらしく力が反応を示さないので何かと思い力の表情を窺うように覗き込めば 「っ、雪乃、やっぱりもうちょっとあっちの方とか、寄ってから帰らない?な、そうしようぜ!」 と、急に進行方向を変えようとしだす。 え、急に何?怪しすぎるんだけど。 そんな不審な力の行動に疑うような視線を向けてから辺りを見回した。 すると、信号を渡った先の方に、まさかの深月くんと静香の姿を発見した。 それに思わず一瞬呼吸が止まった気がしたけど、すぐさま何でもないふりをしてやり過ごす。 別に2人でいるからなんだというのだ。あたしだって今力と2人きっりでご飯を食べたりしていたじゃないか。 そんな事を思ってはみるけど、やっぱり実際に2人でいるところを見てしまうと少なからず心にダメージを負ってしまうあたしがいた。 深月くんって、静香とも2人きりで会ったりするんだ。 そんな些細な事実に、チクリ、胸の奥が痛んだ。
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