なな

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なんだかそわそわと落ち着かない気持ちを抱えたまま、待ち合わせ場所まで向かった。 程なくして、待ち合わせ場所付近に10分前に到着したあたしだったのだけれど、それよりも先に既にそこには深月くんの姿があって あれ?絶対あたしの方が先だと思ってたのに。できる男はあたしに待たせてもくれないのか。と、あたしを待つ深月くんの姿にそんな事を思った。 声をかける前に気持ちを落ち着かせる為、ふう、、。と、息を大きく吐き出してから「深月くんっ!ごめんね、おまたせ!」と駆け寄る。 そんなあたしの姿に、顔をふっと和らげて「あ、雪乃ちゃん。まだ待ち合わせ時間よりも前だし、謝らなくていいからね?」とクスクスと笑いを織り交ぜながら優しく言葉をかけられる。 「…、た、確かに?でもあたしの方が絶対に先に着いたと思ったのに、深月くんいつから待ってたの?」 「ん?いや、俺も本当さっき着いたところだよ。」 と、あたしに気を使わせないための言葉といい、できる男がすぎる。 するとすかさずあたしが持っているバッグへと手を伸ばすと「貸して、持つよ。」と、一応準備してきたお泊まりセットを奪われた。 これぞまさにスパダリ。 どこか一つでいいから欠点を教えてくれ。 そしたらちょっとは深月くんのこと、嫌いになれるかも。なんて、もはや振られる前提のあたしは「えっ、いいよ、それくらい自分で持てるから」と、追い縋るが、いつもの深月くんの有無を言わせぬ笑顔に圧倒されバッグを諦めざるを得なかった。 くっ、優しいのに押しが強いところも嫌いじゃない、、、、。 こんなのもう、全部好きじゃん! と、地団駄を踏みたくなった。
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