なな

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そう思って「ううん、大丈夫だよ。」と、言おうとメニューから顔を上げたあたしに向かって先に深月くんが口を開いた 「もしかして、このデザートプレート食べたい?雪乃ちゃんが食べきれない分は俺も手伝うから、これ頼もっか。」 と、優しい笑顔を浮かべて、あたしの先手を打つ。 思わず「えっ?」と、もはやエスパーなのでは?と思わせられるほどの察しの良さに、驚いて目をぱちくりさせてしまった。 そんなあたしの反応に深月くんは、くすくすと面白そうに笑ってから 「その反応はあたりだった?せっかくだから、頼んじゃうね。」 と、店員さんを呼んでパパッと注文を済ませてしまう。あたしは「ありがとう、、。」と感謝を述べることしかできず、只々圧倒されていた。 いや、優しいがすぎる。 そろそろ、あの話題を話さねばと思い始めていたところだったので、このデザートプレートを一緒に食べながらしなきゃいけないのかと思うと、なかなかヘビーだな。と、思った。 だから、このデザートプレートを食べ終わる頃に話すことにしようと心に決め、急に慌ただしくなった心臓の音を落ち着かせるように、そっと息を吐いた。
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