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side深月
あれはそう、ちょうど1年前くらいのこと。
正直、その頃の俺は特定の誰かをつくるとか、そういった考えは全くなくて、その時々の気分とか、その場の雰囲気でそういう相手を選んではちょくちょく遊んで、相手が本気になる前にその関係を終わらせる。
なんて、そんなことの繰り返しだった。
でもたまに、感情を隠すのが上手な子とかもいて、お別れに失敗する時が極稀にあった。
もう相手の顔も名前も正直あまりよく覚えていないのだけれど、とりあえずその日は俺に本気になってしまった相手にキャンパス内の人通りの少ない場所に呼び出され、多少修羅場っぽくなってしまっていた。
「最初に言っておいてはずなんだけど、俺彼女は作るつもりないんだよね。勘違いさせてしまったのなら謝るからさ、悪いんだけど連絡してくるのとかこれっきりにしてくれないかな?」
自分でも酷いことを言っている自覚はあった。でもこういうのははっきり言っておかないと後々面倒くさい。
だから、きっぱり1mmの期待も持たせないように断ったんだけど
「っ、さいってい!!!」その言葉と共に強烈な平手打ちが俺の右頬にお見舞いされた。
まあ、普通に痛かったけど、これで気が済むのなら安いもんだ。
「…、これで満足した?」
にこり、笑顔でそう聞けば、相手は「っ、、、もう顔も見たくない!!!」そう言って俺の頬へともう一発同じところへ平手打ちを喰らわせたあと、走ってどこかへ消えて行った。
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