なな

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「…、ってえ。」 流石に2発は痛すぎる。 俺の頬は今どうなっているのだろうか。多分確実に赤くなっている気がするけど、今はそれを確認する術を持ってはない。 とりあえず、何かで冷やそう。 そう思い、痛む頬を指の背で少し摩りながら歩き出そうとした時のことだった 「あの、大丈夫ですか?すみません、覗き見する気は無かったんですけど、あたしがどっか行く前に始まっちゃって、最後までバッチリ見ちゃいました。…これ、よかったら。」 俺の顔を覗き込むように、くりっと大きな瞳が印象的な女の子が俺にミネラルウォーターを差し出す。 正直、好みど真ん中のその顔に一瞬見入ってしまったのだけれど、すぐさま気を取り直して 「え?あ、いや、こっちこそごめんね?なんか変な場面見せちゃって。…、これ、いいの?」 と、差し出されたそれを受け取った。 多分買ったばかりなのだろう、手にしたそれはまだかなり冷たくて応急処置として頬を冷やすにはうってつけだった。 「ふふっ、どうぞ。あたしの体よりも今はあなたの体の方がそれを必要としてると思うから。」 なんて、とびきり可愛い笑顔でそんなことを言う。 うわ、やばい、なんかキタかも。 「あ〜…、ありがとう。有り難く使わせてもらうね?」 内心、これからどうやってこの子と仲良くなろうか考えながらも手に持っていたそれをまだ痛む頬へと当てて冷やした。
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