なな

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そんな俺の様子を見てから 「あとでちゃんと保冷剤か何かで冷やした方がいいですよ?結構いい感じのやつキマってましたから。」 なんて、やっぱり最後はどこか可笑しそうに、終いには我慢できなくなったのかくすくすと笑って「ごめんなさい、笑い事じゃないのに。」と、口元に手を当てて上目遣いでこちらを見てるくるその表情がやっぱり可愛すぎる。 なんだこれ、一目惚れとかそういうやつ? 生まれて初めての感覚に少し戸惑ったが、すぐにそれを受け入れて、それを受け入れてしまった今は変な高揚感すら感じていた。 「いや、全然いいよ笑ってくれて。むしろ笑ってくれた方が俺も助かるな。」 「ふふっ、そう、ですか??ならよかった。」 と、またそのあとくすくすとひと笑いしてから「じゃあ、あたしはこれで。お大事に。」なんてあっさり何処かへ行こうとする。 気持ちを自覚した今、あっさりここでさよならなんて諦められるはずもなく 「あ、待って。これのお礼今度させて欲しいんだけど、ダメかな?」 そう言って引き留めた俺へと振り返り、その子から貰ったミネラルウォーターを少し掲げて見せれば、少しきょとん、とした顔をしてからすぐに破顔して 「あはっ、そんなミネラルウォーターのお礼とか大袈裟だからいいよ!陰ながらお兄さんの頬がはやく良くなるように祈ってます。…、じゃあ。」 そう言うと、今度こそその子は一切こっちを振り帰ることなく歩いていってしまった。
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