なな

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まあそれで諦め切れるはずもなく、キャンパス内で会ったということは在学生である可能性が高い。 あれだけ可愛いのだから探せばすぐに見つかると思い、そういう情報に詳しそうなやつに聞いてみたところ、すぐに名前が判明した。 西雪乃ちゃん。どうやら俺とタメらしい。 学部が違うためか今まで存在は知らなかったのだが、大学内ではかなり可愛いと有名だったらしい。 今まではそういった情報に全く興味がなかったので、これからは雪乃ちゃんに関する情報だけはしっかり聞くようにしようと心に決める。 しかし、雪乃ちゃんのことを知れば知るほど難攻不落感が拭えなかった。 基本、内と外ではっきり線引きするタイプのようで仲良くない人以外の顔と名前は一度や二度話した程度では全く覚えてもらえないようだった。 ということは、俺のことも忘れられている可能性が高い。あんな場面を目撃したわけなのだから他の人よりは覚えてもらえている確率は高い気もするけど、話を聞く限り、その可能性はかなり低そうだった。 うーん、どうしたものか。 なんて、雪乃ちゃんに近づく方法がなかなか見つからなくて足踏みしていたら気づけば半年が経っていた。 その間もキャンパス内で何度かすれ違ったこともあったけど、全く気づいてもらえなかった。 いや、もう普通に話しかければ良くないか? でも相手にされなかった時がきつすぎる。 そんなことを考えてはやめての繰り返し。 俺って本来こんなタイプじゃなかったはずなのに、好きになってしまった子に対しては随分と慎重になってしまうようだった。
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