いち

16/19
前へ
/155ページ
次へ
そのままちゅっちゅっ、とわざとリップ音をたてながら耳元、首筋、鎖骨、そして胸元へと降りていく、静かな部屋にリップ音がやたらと響いてなんだかとってもいやらしい と、同時に細く少し骨ばった指先がガウンの隙間から中へと侵入してきた 「っ、、」 ヒヤリ、冷たい指先がお腹からゆっくりとせり上がり胸元を軟く刺激する、時折固く主張し始めた頂きを指先が軽く擦るように弄ぶからなんだかとても焦ったい もっとちゃんと触って欲しい でもそんなことお願いするのは恥ずかしい 自分の中で理性と快楽を求める欲求がせめぎ合う そんな気持ちを知ってか知らずか、時折りあたしの顔色を伺いながら、ゆるゆると淡い刺激を与え続ける 肝心なところは触ってもらえず、全身を冷たい指先と、唇で刺激され、あたしのちっぽけな理性はそろそろ我慢の限界だった 「…ねぇ雪乃ちゃん、どうして欲しい?」 まるでタイミングを見計らったかのように、そう問いかけられる。 深月くんの赤い唇が、自身の唾液で艶っぽく輝いている 「っ、いじわる…」 もう何なのかよく分からない感情が目に涙の膜を張る 「言わないとずっとこのままだよ?」 そう言って、ぽろり、こぼれ落ちた涙の雫をぺろり、舌先で掬ってあたしを静かに見下ろす。
/155ページ

最初のコメントを投稿しよう!

676人が本棚に入れています
本棚に追加