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しかし、あたしの考えは違う意味で裏切られることとなる 「ちゃんと捕まっててね?」 そう言ってあたしをひょいっと持ち上げる深月くん、所謂お姫様抱っこというやつだ 「ぅえっ!?ちょ、なに??やだ、重いから降ろして!」 思いもよらぬ出来事にパニックである 「こら、暴れないの。落ちちゃうよ?」 「…それはいやだけど、待ってこんなの恥ずかしすぎるし、1人で歩けるっ」 「だーめ、ちゃんと介抱するって約束したでしょ?雪乃ちゃんは黙って俺に運ばれてて」 「なっ、」 確かにそんなことを言われた気はするけど、それ本気だったの? いや、でもラブホからお姫様抱っこで出て来るとか前代未聞だろ、なんの羞恥プレイだこれ 「タクシー呼んであるからそこまで我慢してね」 「え、タクシー?あっ、てかお金は?」 あまりにスムーズに部屋から出たためすっかり忘れていたけど、払わないと普通出れないよね? 「あぁ、それならさっき雪乃ちゃんを着替えさせる前に払っておいたから大丈夫」 「うそっ、全然気づかなかった、あとで払うから」 「いいよ、俺が誘ったんだし」 「いや、でもっ」 「本当に大丈夫だから」 にこり笑ってはいるが有無を言わせぬ感じに思わず押し黙る 何もかもが思っていたことと違いすぎてついていけない
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