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小洒落たマンションの前でタクシーが停車する、学生でこんないいところに住んでるとか、実家が太いに違いない タクシー料金は絶対にあたしが払おうと思っていたのに、悲しいことに荷物は深月くんの手の中 しかも電子マネーであっさり支払いを済ませてしまったようだ いや、さすがにスマートすぎないか? タクシーから降り、再度あたしをお姫様抱っこしようとする深月くん 外にはちらほらと人も歩いている 「いやいやいや!流石に歩ける!お願い!どうしても歩きたいからお願い!本当に一生のお願い!後でなんでも言うこと聞くから!!!歩かせてお願い!!!」 未だかつてこんなに人にお願いしたことはないというレベルでお願いをした あたしの言葉に少し考えて 「…なんでも??」 と、深月くん え、そこにくいつく? 「な、なんでも!!!」 なんとしても歩きたいあたしは兎に角必死だった 「ふぅん?…じゃあいいよ」 そう言ってあたしの腰をぐっと引き寄せ、でもこれくらいはさせてよね、と支えるように歩き出した 軽率にも胸がときめいた 嫌いじゃない
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