21/21
前へ
/159ページ
次へ
それから何かあった時のためにとLI◯Eを交換し、よかったらこれ飲んでて、と冷たいミネラルウォータまで手渡してくれる深月くん 気配りの神か 「じゃあ、ちょっと行ってくるから待っててね」 そう言うとあたしの額にちゅっ、とキスを一つ落として部屋を出ていった 「…いって、らっしゃい」 少し遅れて出てきた言葉は、静かな部屋にやたらと響いた気がした 時間にして30分弱ほどで戻ってきた深月くん 手にはビニール袋を2つ程持っていた 袋の中からなにやらガサゴソと探し出し、そこから化粧落としと小さな紙袋に入った何かを、はい、っと手渡してくれる 「…ありがとう」 まさかこれは…、確認はしていないが、たぶん下着を買ってきてくれたのだろう、最後までお願いしようか悩んで断念した代物だっただけにとても嬉しい、が、同時に深月くんにあたしの下着を買わせてしまった申し訳なさと恥ずかしさとで複雑な心境だった 「お風呂溜まってるから、ゆっくり入っておいで」 そう言って浴室の方へと案内される 「え、深月くんは入らないの?」 素直な疑問をぶつける あたしの言葉に一拍あけてから 「……入る」 と、深月くん、なにやら悩ましげな顔をしていた 「??じゃあ、お先にどうぞ」 「…あぁ、そういう意味ね、一緒に入ろうって誘ってくれてるのかと思っちゃった」 え?一緒に? 瞬間、言葉の意味を理解し少し慌てる 「ち、違う!そういう意味じゃなくて、、、」 「あははっ、うん、もう分かってるよ、俺は後でいいから先に入ってきて?それとも本当に一緒に入る?手、出さない自信無いけど」 そう言って顔をぐっと近づけ、少し色気を含んだ目で見つめられる 瞬間顔に熱が集まるのがわかった 「っ、先に入らせてもらいます」 赤くなった顔を見られたくなくて、深月くんをぐいぐい押しながら脱衣所から追い出すと急いで扉を閉めた くすくすと扉越しに笑う声がする、深月くんってやっぱり意地悪だ そして、冒頭へと戻る
/159ページ

最初のコメントを投稿しよう!

685人が本棚に入れています
本棚に追加