いち

5/19
前へ
/153ページ
次へ
見た感じオートロックでは無いようなので、そのまま階段を使って2階に上がり、目的の203号室のインターホンを躊躇なく押した。 ピンポーンとよく聞きなれた音が響く中、ドアの向こう側からバタバタと微かに音が聞こえる。 ーーーー…ガチャッ 「…いらっしゃい、西さんだよね? ゆずから聞いてるよ!あがってあがって!」 開いた扉から爽やかな笑顔を振りまいた可愛い系イケメンが現れた、おしゃれパーマのかかったアッシュ色の髪はしっかりセットされていて、くりくりの丸い目がとても印象的だ。 うん、どっかのアイドルにいそう。 今日の会場は柚葉の彼氏の家と聞いていたので、この人が聡くんであろうと憶測を立てる。 「どーも、おじゃましまーす」 にこり、笑って挨拶をする。 聡くんと思われる人に招き入れられ、中に足を踏み入れると、玄関には靴がひしめき合っていた。 とりあえず空いてるところで靴を脱いで揃える、ここまで来ても、顔すら出さない我が友にはス◯バの新作を追加で2個奢らせることが確定した。 「道迷わなかった?? ごめんね、迎えに行けばよかったよね」 「いや、だいじょーぶだよ」 へらり、愛想笑いで返す。 本音を言えば迎えに来て欲しかったに決まっているが、本番はここではないので黙っておいた。
/153ページ

最初のコメントを投稿しよう!

675人が本棚に入れています
本棚に追加