いち

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お酒を飲み始めて1時間半程経過した頃、柚葉の言っていた、ベタベタ距離が近いという彩美ちゃんの行動が分かってきた、別に聡くんだけに限った話ではないが、やたらとボディタッチが激しいし、多分無意識なのだろうけど、わたしたち仲良しなの!というマウントが激しい。 ことあるごとにそう言えばこんなことあったよね! あのときはあぁだったよね! 聡はいつもこうだよね! と、こっちからしたら知りもしないし興味もないエピソードをしこたま聞かされた。 もちろん興味がないので、へぇ、そうなんだぁと適当に相槌を打ちながら、一応笑顔を貼り付けて聞いていた。 ちなみに、ここまで蓮くんと深月くんとはさほど話していない、彩美ちゃんの話の合間に間接的に話す程度だ。 極め付けは、彼女がいるにも関わらず、聡くんの肩にもたれかかり、ちょっと眠くなってきたかも…、とベタなセリフを吐き 「ベッドまで運んで〜」と甘え出したのだ。 聡くんも聡くんで、「はぁ?はやすぎだろ!重いからやめろよ〜」 と言いつつも、なんだかんだ笑顔である。 チラリ、柚葉の顔を伺えば、案の定顔が引き攣っているではないか。 よし、ついに今日のミッションを遂行する時が来た。 「ん〜、彩美ちゃんってさぁ、あんまり空気っていうか、人の気持ちとか考えない感じ?」 先程までニコニコ笑顔で話を聞いていたあたしが急にぶっ込んだことを言ったからか部屋の時が止まった気がするけど気にしない。
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