よん

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今日は1限から講義があるためこのまま大学に行くと言う深月くん。洗面台借りるね、と言って立ち上がった。 そんな深月くんの後ろ姿を見つめ、あたしも慌てて立ち上がる と、とりあえずなんだ?朝ごはんか? 冷蔵庫を開けてみるが卵とウインナーくらいしかない。牛乳はあるのでシリアル系のものでもいいだろうか。 それともここはおしゃれにスムージー?? バナナスムージーくらいならできそうだけど、なに気取ってんだコイツとか思われる? コーヒーくらいは出してもいいよね? 考えすぎてもはや何が正解か分からなくなってきた。 そんなことをうだうだ考えている間に深月くんが戻ってくる。 用意できたものと言えば、ただのアイスコーヒーのみだ。あまりの女子力の無さに今なら軽く泣けそうだ。 とりあえず深月くんに用意したそれを手渡す。 「ごめんね、ありがと。あ、歯ブラシなんだけどこのまま置いて行っても大丈夫?」 アイスコーヒーをあたしから受け取りながら深月くんが思い出したかのように言う 「っ、も、もちろん」 それって、また来てくれるってこと? 心の中で深月くんに問う 「よかった。次来た時に捨ててあったら泣いちゃうかも」 あたしの顔を見つめながら、いたずらっ子のような笑みを浮かべる深月くんに 「そんなことしないよ!」と少しいじけて言えば 「ちなみに、この間雪乃ちゃん来た時に使った歯ブラシもちゃんとそのままにしてあるからね」 と、あたしの心臓を容赦なく撃ち抜いてくる 朝からあたしのライフポイントは瀕死に近い 「そ、そっか。ありがとう」 返答はこれでいいのか分からないが、とりあえず感謝を述べておいた。 でも、他の女の子が泊まりに来た時とか、困らないのかな?と嫌な考えが不意に頭をよぎって、ちょっとだけ胸がチクリと痛んだ
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