よん

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・:*+. 大学に併設されているカフェススペース。 そこで柚葉とふたりシャーペン片手に過去問と睨めっこしながら出題の傾向を考える。 同じ学部の先輩より伝承されているこの過去問、入手するのと引き換えに飲み会という名の合コンへの参加が確定したわけだが致し方ない。背に腹はかえられぬ。 そう、何を隠そう夏休み前の大仕事、中間テストが差し迫っていた。家からバイトと大学を往復する毎日を過ごしながら、最近はテスト勉強にも追われる日々。しかし、そんなあたしの日常にもう一つ追加されたことがある。 それは、週に1回は深月くんと会う約束をしている。ということだ 何故そうなったかというと、初めて深月くんが家に泊まったときのこと…—— 「雪乃ちゃん、来週空いてる日とかある?」 帰り際、玄関で靴を履き終え、あたしへと振り返る深月くん 来週?なんか予定あったっけ…? 「ん〜…、バイトが無い日は特に予定は入れてなかったと思うけど…?」 「そっか、じゃあ金曜日の夜は空いてる?」 深月くんからの問いに、バイトのシフトを思い出しながら「えっと、多分。」そう答える。 「なら、その日この前言ってた韓国料理食べに行かない?」 「えっ、行きたい!」 思いもよらぬお誘いにテンションが上がる 「じゃあ決まりね。また連絡するよ」 そう言ってあたしの唇にちゅっと可愛らしい音を立ててキスをひとつ落とすと、玄関の扉を開けて「おじゃましました。」と出ていった。 それ以降、今のところ3週連続で会っているのだが、毎回会うたびに深月くんが次の会う約束を取り付けてから帰るのがここ最近のお決まりパターンになりつつあった。 ちなみに今週は日曜日に約束をしている。 テストも近いということで、深月くんと一緒にテスト勉強をする予定だ。その後はそのまま深月くんの家にお泊まりさせてもらうことになっている。 そして、変わったことといえばもうひとつ。 たぶんこれが1番の変化だと思う。 それは何かというと、あたしの深月くんに対する気持ちだ。 最初は頑なに好きになりたくない。まだ好きじゃない。と認めなかったこの感情も毎週のように会うようになり、いよいよ認めざるを得ないところまで来てしまっていた。 もう普通に好き。どう考えても好き。
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