よん

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深月くんの提案であたしのバイト先の近くまで移動し、適当なカフェへと入る。注文を済ませドリンクを受け取ると、深月くんに促されるままにカウンター席へと並んで座った。 普通の席も空いてるのになぜカウンター席なのかと聞けば、「だって横に座った方が近くにいれるでしょ?」とトキメキをプレゼントされる。 それに、ありがとうございます…。と、心の中で感謝した。 「…あの、今更なんだけど、さっき一緒にいた子はよかったの??」 アイスティーのストローを無意味にくるくると回しながら、なんとなく聞くに聞けなかったことを聞いてみる。 「ん?あぁ、静香?」と、さらっと呼ばれた名前に少しムッした。けど、顔には出さなかった。 別に呼び捨てくらい普通のことだ。それでもなんだか今は嫌だと思ってしまうのはしょうがないよね? 「んー、名前は知らないんだけど。たぶん?その静香さんでいいと思う。」 「あれ?でもさっき、顔見知りな感じじゃなかった?」 少し不思議そうに深月くんが首を傾げる。 できればつっこまれたくなかった部分に内心少し動揺しながらも 「顔見知りっていうか、今日ちょっと話す機会があったんだけど名前は特に聞いてなかったから知らなくて…。」と、なんとか誤魔化す。 流石に深月くんとどういう関係なのか聞かれましたとは言えないし。むしろあたしが聞きたいくらいだ。あたしって深月くんのなに?セフレですか?って。 「そっか。別に静香とは約束してたわけじゃなくて、カフェスペースでみんなで勉強するから一緒にどう?って誘われてさ、予定もないからいいかと思って向かってたところに雪乃ちゃんと会ったんだよね。」 え、それを人は約束と呼ぶのでは?と思ったけど口には出さなかった。 てか、カフェスペースってあたしがさっきまで居たところじゃん。もしかして見せつけるために深月くんのこと誘った感じ?あたしも性格よくはないけど、静香の方がよっぽど悪いじゃん! もはや呼び捨てである。
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