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そんなあたしの気持ちなど梅雨知らず、話を続ける先輩。 「ん〜?そんなの分かんないでしょ。とりあえず連絡先教えて?じゃないとイン◯タ調べあげてエグいほど送りつけるよ?」 こ、こわぁ、SNS駆使してくんな。 「…返さなくてもいいなら、教えます。」 「あははっ、おっけ〜。めげずに連絡するから大丈夫だよ」 そう言って嬉しそうにスマホを取り出す。 なんで、連絡先ひとつくらいでこんなに嬉しそうにするんだろう。そもそもこの人はいったいあたしのどこが気に入ったのだろうか。 ふと、そんな疑問が頭をよぎり 「あの、先輩ってあたしのどこが気に入ってこんなに絡んでくるんですか?」 どストレートに聞いてみる。 なんとも思っていない人に対してはこんなにはっきり聞けるのに、深月くんに対しては無理だ。 あたしの質問に、え?そりゃあ…、と少し考える素振りをみせてから 「やっぱりかわいいところ、かな?あとは、はっきりものを言ってくれるところもいいなって思うし、、、。まあ、どこがって言うよりこうゆうのっていいなと思ったら気づいた時にはもう好きになってるものじゃない?」 ほら、俺みたいにさ?そう言って目をすっと細め、口元にカーブを描く。唇の右下にあるほくろがちょっとえっちだ。 なるほど。金子先輩がモテるのがなんだか少しだけ分かった気がする。 「…そう、ですか。」 言われてみれば、あたしも初めは深月くんの顔がタイプだなってところから始まって、気づいた時にはもう好きになっていた。 きっとどこが、とかそんなのはとても曖昧で、誰かを好きになるのって理屈じゃないんだ。 急にポエマーっぽい思考になっていることに気づきそんな自分にうんざりした。 せっかく答えてくれた金子先輩には悪いが、やっぱりあたしは深月くんのことが好きだと再確認しただけだった。
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