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「…—、……——。」 誰かが何かを喋っている気がするけど、言葉が頭に入ってこない。 「…ん、、、。」 微睡む意識の中、なんとか目を開けようと頑張ってみる。 「…雪乃ちゃん?…起きた?」 近くであたしの名前を呼ぶ声がする。 あれ、、、?なんか、深月くんの、声、、、、? 重たい瞼をなんとかゆっくりとこじ開け、何度も目を閉じそうになるけどその度に開けてを繰り返す。 「……みつ、、き、くん?」 ぽつり、ぽつりと深月くんの名前を呼ぶ、すると 「うん。だいぶ酔ってたみたいだけど大丈夫?」 漆黒の瞳がジッとあたしを見つめる。 それをぼーっと眺め、やっぱりかっこいいなぁ、と呑気にそんなことを思う。 「…かっこ、いい。」 気づけばそう思ったことを口にしていた。 あたしの言葉に、え?と一瞬驚いた顔をしたかと思えば 「俺の顔、すきなの?」 と、頬杖をしながら聞いてくる。 すき? そりゃもちろんすきだ。 顔も体も声も仕草も性格も全部、なにもかも。 「ふふっ、うん、、、すき。」 寝起きに回らない頭、更にお酒に酔っている状態のふわふわの脳内はまるで夢心地で、聞かれたことに素直に答えてしまう。 「はぁ…、なんか、ずる。」 あたしの言葉に頬杖をついていた腕を倒すとそのままそこへと突っ伏した。 かと思えば、ちらり目元だけが見えるように顔を少し上げ、続けて 「そんな期待させるようなこと言うと、今から襲っちゃいそうだからやめて。」 と、グッと何かを堪えるようなその表情にあたしの女の部分がうずく。
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