いち

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いち

「あ、そーいえば彼氏できた」 3コマ目の空き時間、次の講義までの時間を潰すべく、校内のカフェテラスでアイスコーヒー片手にイン◯タを見ていた手が止まる。 向かいの席に目を向ければ、話題がない時によく出てきがちなワード、お腹空いた、を言うときのようなテンションで話す柚葉(ゆずは)が目に入った。 え、テンションそれで大丈夫そ? 「…おめでとう、相手だれ?」 とりあえず、祝いの言葉と相手は誰かという情報のリサーチをしてみる。 「いや、雪乃(ゆきの)に名前言っても分からないでしょ。」 そう、呆れたように言われれば、反論の言葉も出ないので、確かにと素直に返事だけしておいた。 自慢じゃないけど、興味のない人の名前と顔を覚えるのは大の苦手だ。 「たぶん分かんないと思うけど、一応同じサークルだよ」 やたら一応の部分を強調され ちなみに、タメねと付け加えられた言葉に あぁ、もしかしてあの人!? と、なれないのがもはや笑えてくる。 なんてったって、一度も顔を出したことのないサークルだ、分かるわけがない。 じゃあなんで入ったと言われれば、柚葉に誘われてなんとなく、他サークルの勧誘もうるさかったのでとりあえず所属したのだ。 ちなみに、アクティビティサークルだった気がするけど、あたしには向いてないなと、今更ながら思った。
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