東城拓巳(トウジョウ タクミ・検事)

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「はい、どうぞ」 生が返事をすると、病室に、髪の長いほっそりとした美しい女性が入ってきた。 「佳世、、」 生が言った。 この人が、佳世さんなのか、、。 波瑠は、その美しさに身惚れてしまった。 その佳世さんが、ベッドに横たわる貴一郎を見た後、生に向かって、涙を流しながら言った。 「お父様がお倒れになったのは、きっと生さんが戦地に行くのを止めるためよ!」 「えっ?」 「お父様が、予定通り、自分の跡を継いで欲しいから、それでお倒れになったのよ!」 佳世さんは、必死だった。 波瑠は、見ていてそれがよく分かった。 自分だって、同じ状況だったら必死になる。 その時、渋谷課長が、口を開いた。 「生兄さん、兄さんがもし父さんの後を継がないなら、渋谷医院はどうなってしまうんだ?」 生が、渋谷課長をじっと見つめた。 「誠、、。お前が継ぐんだ」 ええっ?! 渋谷課長がお医者さんになるの?!
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