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「そうですか、、。中田恵子さん、これからも、大倉官房長官の応援をよろしくお願いしますね」
三上は、そう笑顔で言うと、隣のテーブルへ挨拶に移った。
「圭さん、別に怪しい人には見えないけど、、」
波瑠は、圭に言った。
「ああ、今のところ、椿総理を暗殺してまで、大倉官房長官を総理大臣にしようとする動機が薄いんだ、、」
圭は、答えた。
後援会は、大倉官房長官が壇上に登場し、講演が始まった。
波瑠は政治には、特別詳しくないが、無難な講演だったと思った。
特に盛り上がることもなく、講演を聞いている支援者の中には、あくびをしている者もいた。
だが、壇上に、いきなり、椿総理大臣が現れると、一変した。
支援者達から驚きの歓声が上がり、会場は拍手に包まれて、「椿総理!」と言う声もあちらこちらからした。
椿総理は、その歓声に笑顔で応えて、手を振った。
圭が、驚いて言った。
「サプライズ登場だ。椿総理の行動予定には入ってなかったはずだ。僕は、椿総理の警護から外されたんだが、、」
椿総理は、人気が高かった。
波瑠は、やはり、椿総理は華があって、魅力的だと思った。
椿総理は、壇上で、大倉官房長官について語った。
「大倉官房長官は、私の親代わりの存在です。今、私があるのは、全て、大倉官房長官が支えて下さったからです。娘のような年の未熟な私に、政治の一から教えて下さった、、。皆さん、大倉官房長官は、この国の大いなる父親です。これからも、大倉官房長官の応援をよろしくお願い致します!」
椿総理は、拍手の鳴り止まぬ中、壇上を降りようとした。
その時!
一発の銃声がして、椿総理の前の窓ガラスが粉々に割れた。
支援者から、悲鳴が上がった。
椿総理付きの二人のSPが、椿総理を囲んで、部屋の外に出ようとした。
しかし、SPのうちの一人が、二発目の銃声と共に、倒れた。
圭は、素早く駆け出すと、椿総理の上に覆い被さった。
「渋谷君! どうしてここに?!」
「いいから、私を盾に、会場から出るんです!」
会場は、逃げ惑う人で大混乱だった。
その後、銃声が数発続いた。
波瑠は、どうしていいか分からず、足がすくんで動けなかった。
渋谷課長!
助けて!
波瑠は、声にならない助けを呼んだ。
「波瑠っ!」
渋谷課長の声がした。
えっ?!
波瑠は、空耳かと思った。
しかし、波瑠の目の前に、渋谷課長が現れた。
「渋谷課長! どうしてここに?!」
「心配になったから、来たんだ! 波瑠、屈んで姿勢を低くして、ここから出るんだ!」
「は、はいっ!」
波瑠は、泣きながら、言葉に従った。
だが、その時、また、銃声がした。
そして、、!
その銃弾は、波瑠に当たり、波瑠の体から真っ赤な血飛沫が大量に飛び散った!
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