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それは、真夜中の電話から始まった。
渋谷課長と波瑠が寝ていると、渋谷課長のスマホが鳴った。
二人は目覚めた。
午前二時、、。
ただごとではない。
「なんなんでしょう? 渋谷課長、、」
波瑠は、怯えた。
渋谷課長が、スマホに出た。
「はい、、。え? 父さんが倒れた?」
ええ?!
波瑠は、慌てた。
渋谷課長の父親、つまり、波瑠の義父は、渋谷医院という開業医をしていて、そこの院長だった。
つまり、渋谷課長の実家は、病院だったのだ。
だが、波瑠は、あまり渋谷課長の家族とは関わりがなかった。
義父は、無口で威厳のある頑固そうな人物だったし、義母はもう随分前に乳がんで亡くなっていた。
渋谷課長は、4兄弟の末っ子で、それぞれの仕事で忙しい3人のお兄さんにも、結婚式で初めて会ったくらいだった。
結婚式で初めて会った3人の義兄たちは、揃って見事な程、イケメンだった。
まあ、渋谷課長のお兄さんだから、、と、波瑠は納得していた。
長男は、生(セイ)という名前で、大学病院の外科医だった。
長めの黒髪が似合う、優しそうなイケメンだった。
将来は、渋谷医院を継ぐ、と聞いていた。
次男は、命(メイ)といい、弁護士だった。
髪を上げていて、聡明そうなイケメンだった。
三男は、圭(ケイ)で、警察官をしていて、今は、総理大臣付きのSPをしているらしかった。
目つきの鋭い、凛としたイケメンだった。
そして、四男の末っ子が渋谷課長である。
普段は揃うことのないその四人が、急遽、義父の入院先の病院へ集まることになった。
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