四男・誠(マコト・県庁職員)

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義父の渋谷貴一郎の入院先は、救急搬送された総合病院だった。 貴一郎は、渋谷医院に隣接した自宅で一人暮らしをしていた。 週に三回ほど、お手伝いさんが来て、食事の支度などをしていたのだった。 貴一郎が倒れているのを、そのお手伝いさんが発見し、救急車を呼んだのだ。 丁度、そのお手伝いさんが来る日で、発見が早かったことが幸いし、一命は取り留めた。 だが、、。 「えっ? 意識が戻らないし、病名がわからない?」 渋谷課長が、長兄の生(セイ)に訊いた。 生は、四人のうちの一番早くに、病院へ駆けつけ、主治医ともう話をして病状を聞いていた。 波瑠と渋谷課長が、病院へ駆けつけたのは、生からの電話だったのだ。 「ああ、僕もじっくり主治医とは話してみたんだが、どうも原因不明の昏睡状態らしい、、」 「原因不明だって?!」 その叫び声と共に、病室のドアが、バンっと開いた。 次男の命(メイ)が、病室に飛び込んで来たのだった。 命は、スーツにロングコート姿だった。 「法廷から直接来たんだ、、。親父、もう死ぬのか?」 「命、久しぶりだな。相変わらず、お前は遠慮がないね」 生が苦笑した。 「お父さんは、まだ死なないと思うよ」 それを聞いて、渋谷課長と波瑠はホッとした。 その渋谷課長が、生に訊いた。 「圭(ケイ)兄さんは、まだ来れないの?」 「ああ、圭の仕事は特殊だから、親の死に目にも会えないってやつだね。でも、圭は、一番父親っ子だったから、どうにか都合をつけて来るだろうね」 その言葉通り、暫くすると、三男の圭が、トレンチコート姿で青白い顔をして、病室に入って来た。 「父は、大丈夫なのか? また、元気になるんだろう?」 「圭、仕事は大丈夫なのかい? 今は椿総理大臣の護衛なんだろう?」 生が訊いた。 波瑠は、圭が総理大臣付きのSPだとは訊いていたが、さすがに、その名前を直に聞くと緊張した。 椿 翔子総理大臣は、日本で初の女性総理大臣だった。 しかも、史上最年少の42歳で、美人であることでも有名だ。
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