四男・誠(マコト・県庁職員)

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「仕事には、すぐに戻らないといけない。30分だけの約束で抜けて来たんだ。今、椿総理は危険な状態だから、、」 「危険?」 生が訊いた。 「ああ、詳しくは話せないが、暗殺予告がされているんだ」 ええっ?! 波瑠は、驚いた。 あ、暗殺? でも、数年前、当時の総理大臣が暗殺された事件があった。 日本も安全大国ではなくなったのだ。 「とりあえず、父は、すぐに死んだりしないんだな?」 圭が生に訊いた。 「うん。大丈夫だと思う。まあ、原因不明だから、急変もあるかもしれないけど、今はバイタルも安定してるし、、」 「そうか、、」 圭は、ホッと息を吐くと、言った。 「じゃあ、もう、仕事に戻る」 圭は、踵を返すと、トレンチコートの裾を翻し、無駄のない動きで、病室を出て行った。 波瑠は、こんな時なのに、思わず、カッコいい、、と思ってしまった。 こんなカッコいいSPに守られるなんて、椿総理がちょっと羨ましい、、。 波瑠は、昔観た映画の「ボディガード」を思い出していた。 ああ、ケビン・コスナー、カッコよかったなあ、、。 あたしも、ボディガードにお姫様抱っこされたい、、。 、、波瑠は、どんな時でもやはり夢見る乙女の波瑠であった。
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