プロローグ

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プロローグ

「紗夜ちゃん。今回の展示会、やっぱり君に任せてよかった」 「紅川(べにかわ)先生にそう言っていただけて、本当に嬉しいです」  仙台にあるギャラリー瑞穂での紅川先生の展示会。  今まで数多ある誘いを蹴り続けていた紅川希央斗(べにかわきおと)先生から指名を受けて、この私、梧桐紗夜(ごとうさよ)は、この数か月準備に追われていたのです。  都内のイベント企画会社【クロニクル】で働き始めて五年…もうすぐ六年になろうとしているんだけど、その間、上司の諏訪さんにしごかれて、知識を叩き込まれて、なんとか独り立ちの第一歩を踏み出し始めたところ。  今回の紅川先生の展示会も、直々のご指名をいただいて、諏訪さんからも「サポートに入るからやってみろ」と言われ、ここ数日は心配で夜も眠れない中、ようやく開催当日を迎えた。  こんなに嬉しい日はない。  会場に来てくれるお客様の顔を見ていると、思わず笑みがこぼれちゃう。  それなのに、この最高の気分をブチ壊すほどの最悪の再会があるとは思いもしなかった。 「悟桐さんとおっしゃるんですね」  受付にいた私は、そう声をかけられて顔を上げると、目の前にいたの谷川友理(たにがわゆり)だった。  彼氏の山崎仁(やまざきじん)の元カノで。  約三年前に仁がこの女と浮気しているのを知って別れ話をしたら、仁から別れたくないとごねられて、一度、許しちゃったのよね。  でも、どうしてここにその女がいるの?  ◇ ◇ ◇  プロローグという書き方がおかしいかな?と思うのですが、そう表題を書いてしまったので……  本編最後のちょっと手前の出来事位の位置づけになってます。  紛らわしくてすみません m(_ _;)m
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