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梧桐紗夜
クロニクルは、都内でも比較的新しいイベント企画会社で、得意分野は絵の展示会だ。
新進気鋭の画家の発掘に始まり、昔懐かしい画家や現在活躍中の画家に至るまで、ありとあらゆる画家を対象に展示会をしている。
それも都内だけではなく、画家の希望とあれば地方都市でも開催することもあるし、全国周遊するように何か所も回ることもある。それくらい定評のある会社なのだ。
別枠でリトグラフなども扱っているので、本物の絵画は高すぎて手が届かない人達にも、芸術に触れ合えるような裾野を広げている。
そして私、梧桐紗夜は、大学で美術を専攻。卒業後にこのクロニクルに就職した。
目はパッチリ二重で、髪はセミロングで少し緩めにパーマをかけてて、見た目は真面目な新人OL風って言われるんだよね。それって若く見えるってことかなぁ?
セミロングの髪は、大学の時には腰まで伸ばしていたから、切る時はもったいないって言われたくらい自慢だった。でも、乾かすのにも時間がかかったし、就職したから気合い入れるためにバッサリ。まぁ、また伸ばせばいいだけだし。
最初は美術に関する仕事が出来ればって考えてたけど、入社してからアートコーディネーターの諏訪孝則さんの下に配属されて、それから毎日みっちりと鍛え上げられ、知識を叩き込まれ「お前は俺の後任だ」などと言われて、くたくたになる日々を過ごしている。
そして忙しく一年が過ぎた頃、一緒の展示会を担当した先輩の山崎仁と付き合うようになって、それなりに充実した日を過ごしていた。
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