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雄国教官
私は飛び級だったので、新卒のメンバーと同じ年に警視庁の警察官採用試験に合格し、4月から警察学校に入学して府中の寮に入った。
一度失敗した学校生活。10ヶ月警察学校で寮生活をしなければならない。40人程の同期がいるが、女子は3人。凄く緊張していた。
予想通り、2人の女子と私ひとりという組み合わせになるのはあっという間だった。
それでも比較的若いのに雄国教官は、何かと気配りが上手かった。雄国班は特に仲が良く、3人の女子も含めて和気あいあいという評判が高まっていた。
ある時雄国教官から、声をかけられた。
「君のお父さんの望月警部は、優秀な警察官だったよ。誇りに思う。」
「あ、ありがとうございます。」
あまりにも唐突だったので、気の利いた台詞が出てこなかった。それがまた恥ずかしくて、逃げるように自室に戻った。
すぐアリステリア先生からもらった本を取り出して、ぎゅっと抱きしめた。藁にすがるように。
「大丈夫。私は、大丈夫。」
目を閉じて、静かに心を閉じた。
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