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「これな、今井さんが持ってきてくれたお菓子やけど、母ちゃんこんなに食べれへんでそっちで食べてぇ。あとまた今年も古川さんが米くれたで、入れといたわ。もう前送った米は全部食べたか?ええ加減な食事しとったらあかんで」
話に合わせて段ボールから取り出すが、次から次へと出てくる食べ物。
小さいオカンはひたすら話し続け、俺は黙ってそれを聞く。
「あとな、そっちでも売っとるやろけど……これもいっぱい貰ったでサツマイモ入れといた。あんたの電子レンジ、焼き芋作れるやろ。簡単らしいでやってみ。そろそろ寒なってくるで、布団分厚いの出して干しときなよ。ほな、身体に気ぃつけてな」
言いたいことを全部言った小さいオカンは、ポン、と音を立てて消えた。
リアルのオカンもこれの半分ぐらい喋ればいいのに、と思う。
段ボールの側面に1枚の便箋が張り付いており、先ほどの説明を要約した内容が書いてある。
底には敷き詰められたサツマイモ。
焼き芋が焼ける電子レンジは、俺のこだわりで選んだんだけどな。
毎年サツマイモが送られてくると、時間がある時に4本ずつまとめて焼き芋にし、冷蔵・冷凍保存して夕食に食べている。
俺は携帯電話で実家に電話をかける。
「なんや」
遅い時間にもかかわらず、オカンはすぐに電話に出た。
「荷物付いた。ありがとう」
「ちゃんと食べぇ」
「食べとるわ」
「ほな」
通話終了。
オカンの機嫌が悪いわけではなく、これが以前からの俺らの通常通りの会話だ。
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