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俺が中学生の頃に他界した、オヤジの分まで働いてきたオカン。
俺的には母親というより父親的存在だった。
そしてオカンは4年前の春、「アンタはアンタで自分の面倒見ぃ」と言って、就職と共に上京して一人暮らししたいという俺を引き止めもせず送り出した。
学生をしながら家事をこなしてきた俺の生活より、仕事一筋のオカンの生活の方が心配だったが、ありがたいことに近所の人や友人がオカンの世話を焼いてくれている。
就職して2か月が経った頃、オカンから初めて荷物が送られてきた時の事だ。
「お疲れさーん!ちゃんとご飯食べてるか!?野菜いっぱい貰って困っとんの。腐らさんと使ってな!」
オカンの姿をした小人が、オカンの声でオカンとは思えないほどの饒舌さで喋りまくり、そして消えたのだ。
非常に驚いたが恐怖とかそのようなものは感じず、端端に感じるオカンの心遣いで、これはオカンの愛情が形になって一緒に梱包されたのだとわかった。
以来、毎度オカンからの荷物には小さいオカンがついてきた。
そしてどうやらそれは、オカンだから出来るワザというわけではないようだ。
ひとり暮らしを始めて間もない頃、ネット注文した菓子の賞味期限に印字ミスがあったときのこと。
3年も前の日付で驚いて問い合わせすると、印字ミスのみで食べても問題は無いとの返答を貰った後、新しい商品とお詫びの商品券が送られてきた。
その際、土下座をした小さなオジサンとお姉さんが一緒に送られてきた。
小さな二人が下手に言い訳などせず陳謝する姿からもの凄く誠意が伝わり、以来そのショップを事あるごとに利用させてもらっている。
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