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梱包されていた菓子は、珍しく賞味期限が近いものが多かった。
そして、誰から頂いたとか書かれた手紙も同梱されていなかった。
不思議に思った俺は、実家に電話をかけた。
……出ない。
いや、小さいオカンが入っている方が不思議なのだが、毎回荷物に小さいオカンが欠かさず入っていたのだ。
いつもと違う状況に困惑する。
入れ忘れた?
いや、別に敢えてオカンが小さいオカンを入れているわけではないらしい。
以前「荷物に小さいオカンが入っとった」とさりげなくオカンに伝えたら、「何それ、気持ち悪っ。人形でも入りこんどったん?」と返された。
ひとりで暮らす俺を心配する想いが小さいオカンになるというのなら、その想いが消えてしまった?
もしかして、好きな男でも出来たのだろうか。
こんな夜遅くに不在にしている理由は、そいつとデートでもしているのだろうか。
それならそれでめでたいが、息子としては少し寂しい気持ちだ。
いや、まさか大病を患って入院中だったりしていないか?
実は俺のひとり暮らしを反対しなかった理由が、その大病の治療に専念する為だったとか。
もしそうならこんなに菓子を戴く理由がわかる。
実家に寄り付くなという話も納得だ。
俺は気になってオカンの携帯に電話をかけた。
「……何や」
「今どこや」
「家や」
「嘘や」
「寝てたんや」
「ほんまか、ごめん」
「切るで」
「おお」
……本当に家にいるのか?
もう一度自宅に電話をかけるか?いや、寝ているらしいしな。
俺は居てもたっても居られなくなり、次の日仕事を休み、朝の電車で実家へ向かった。
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