ぼくの日記

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 ■■月■■日  スイミングスクールで進級試験があった。  ぼく以外のみんなが進級できた。  ぼくは平泳ぎができなかった。  いつまで経ってもできなかった。  帰り道で芋虫を捕まえた。  ■■月■■日    学校で先生に怒られた。  ぼくが家庭科の課題を忘れたから怒られた。  帰り道で芋虫を捕まえた。  死んでいた。  ■■月■■日  友達を怒らせた。  ぼくが調子に乗ったから怒らせた。  ごめんなさい。  ■■月■■日  違うクラスの先生に怒られた。  運動会の予行練習でぼくがうまく動けなかったせいだ。  ドッヂボールをした。  ボールをかわすのだけは得意だった。  気がつくとぼくは一人になっていた。  逆上がりができない。  いつまで経ってもできない。  帰り道でクモを拾った。  足が五本しかなかった。  ■■月■■日  芋虫をちぎった。  ■■月■■日  親せきの家に行った。  褒められると思って掃除の真似事をしたら  おばさんに怒られた。  なんでかわからなかった。  きっと悪いことをしたんだろう。  いとこと遊んだ。  つまらないと言われた。  ■■月■■日  近所の犬が死んだ。  ぼくを噛んだ犬だ。  ■■月■■日  学校でグループワークがあった。  学校周りの地図をつくろうというテーマだった。  グループ決めで最後まで余った。  Cグループに入れてもらった。  ■■月■■日  吐いた。  ■■月■■日  休み時間はノートに漫画を描いていた。  小原さんがのぞき込んできた。  さゆりちゃんの方がうまいと言われた。  ■■月■■日  飼育小屋のウサギが死んだ。  ■■月■■日  弘樹くんに貸したマリオが返ってこない。  今日も言い出せなかった。  ■■月■■日  おなかが痛い。  ずっと痛い。  ■■月■■日  黒板の文字がノートにとりきらないうちに消える。  ぼくが遅いのが悪い。  バトエンを転がした。  遊び方を知らない。遊び相手もいない。  ■■月■■日  飯山さんに責められて泣いた。  先生からあなたも言い返しなさいと叱られた。  帰り道で芋虫を捕まえた。  ■■月■■日  バスから降りるときになかなかお金を用意するのができなかった。  運転手さんに早くしてよと言われた。  慌ててお金を適当に入れた。  運転手さんにため息をつかれた。  ■■月■■日  ちぎった。  ■■月■■日  雨が降った。  休み時間にトイレに行って戻ったらぼくの机に隣のクラスの人が座ってた。  どいてと言えなかった。  ■■月■■日  いつも。  いつも。  いつも。  ■■月■■日  お母さんはいつも笑って「おかえり」と言う。  やさしい顔で言う。  その顔を見ると言えなくなる。  今日も言えなかった。  お母さん、どうして、ぼくを産んだの。  ■■月■■日  大野君に雑巾を食えと差し出された。  ぼくがためらっていると、口に押し込まれた。  吐いた。  みんな笑っていた。  先生に床を汚すなと怒られた。  帰り道で芋虫を捕まえた。  ■■月■■日  ちぎって、つめる。  繰り返した。  ■■月■■日  ぼくの日記は終わりにすることにします。  ■■月■■日  ちぎった。ちぎった。ちぎった。ちぎった。ちぎった。ちぎった。ちぎった。ちぎった。ちぎった。ちぎった。ちぎった。ちぎった。ちぎった。ちぎった。ちぎった。ちぎった。ちぎった。ちぎった。ちぎった。ちぎった。ちぎった。ちぎった。ちぎった。ちぎった。ちぎった。ちぎった。ちぎった。ちぎった。ちぎった。ちぎった。ちぎった。ちぎった。ちぎった。ちぎった。ちぎった。ちぎった。ちぎった。  ■■月■■日  お母さん、どうして、ぼくを産んだの。
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