1年 冬

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「おはようございます。志摩」 「おっはよぉーゆっきー先輩ー」 生徒会副会長の三河 裕貴が手を擦りながら入ってきた。 寒かったんだろうなーと下げていた生徒会室の暖房をちょっと上げる。 「志摩は今日も早いですね」 「そー?健康第一だしねー」 スイッチを切り替えてゆき先輩と話す。一応先輩だけど、俺のキャラ的にタメ口あだ名で絡んでる。ちょっと罪悪感あるから先輩はつけてるけど。 ゆき先輩は背がちょっと高めのイケメンだ。長い白髪をゆったりと1つに纏めている。 いつも胡散臭い笑顔をしているが何を考えているかは分からない。腹黒いけど仕事は早いから生徒会メンバーは信用してる。 ゆき先輩に続いて書記の泉本 慎平が入室した。 「おはよぉーしんぺーくん」 「………………………おはよう……」 寡黙系のしんぺいくんは人と話すのがあまり好きではないらしい。一匹狼とか真面目とかではなくて、ただ単に会話が苦手だからって本人が言ってた。 身長が馬鹿みたいにでかくて注目を集めてしまうから、表情が見えないぐらい前髪を伸ばしている。 生徒会メンバーはその事を知っているから特に指摘したりはしない。 しんぺいくんが本棚から本を取り出し読み始め、ゆき先輩がコーヒーを淹れて飲み始めてゆったりとした時間が流れたその瞬間。 バンッッッッと大きな音を立ててドアが開いた。 「会長が激おこだー!!」 「ゆきちゃん助けてー!!」 庶務の美濃口 薫と光が走りながら入ってくる。 そのままの勢いでゆき先輩に抱きつき、泣きそうに目をうるうるさせて助けを乞う。 「またあなた達会長に悪戯したんでしょう。会長もキレて当然ですよ」 庶務の2人は双子で、顔もそっくり、考え方も一緒で、人が自分達によって困惑する顔が好きらしい。ゆえに人を騙した悪戯が大好きなのだ。 2人で庶務になった双子だが、学園の歴史の中で1つの役職に2人が就くことは無かった。しかし、この双子はランキングも同位、成績も一緒、周りの熱狂的な要望で2人で就くことになった異例の2人である。 「おい、お前ら分かってるよな?」 開きっぱなしのドアから生徒会長の加賀城 雅勝がイライラなオーラを放ちながら入ってきた。 目をギラギラさせ、鋭い眼光で薫と光を見つめる。
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