1年 冬

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会長は成績優秀、眉目秀麗、さらに大企業の御曹司である。基本的に俺様で、何事にも自分1番で考える人だ。 性格はアレだが、腐っても御曹司なので仕事では的確かつ迅速に決定を下す。また、頭の回転が早く生徒会メンバーの得意不得意を知っている為、それぞれに合った仕事を渡してくれる。 文化祭や体育祭の前は生徒会の仕事量が増えるから、正直この人がいてくれるだけで安心感半端ない。 本当に性格が良かったら完璧なんだけどなーとか何回も考えた。 でもまぁ、この思いが届いたことはない。 「あはは、かいちょーも許してあげなよぉーどうせいつものことなんでしょー?」 「はっ毎日毎朝親衛隊がドアの前にいる経験をしてから言え」 「うわぁ〜……」 ここで言う親衛隊は、所謂俺らのファンだ。頭のおかしいランキングがあるように、頭のおかしい団体もある。 アイドルでもない生徒会にファンがつくのは当たり前になっているらしい。 生徒に人気の生徒それぞれに親衛隊がついており、人によって特色が変わる。例えば、会長の親衛隊は小柄で過激的な人が多い。 さらに、大まかな規律は校則で決められているが、親衛隊によってルールが変わったりする。そのルールも俺らが決めることが多く、放任主義のとこは結構親衛隊が作ってたりもする。 その会長の親衛隊に、双子が毎朝何時に会長が部屋から出てくるかリークしているらしい。 「特にさっきは本当に最悪だった」 「何があったのー?まさか告られたりー??」 「いや、菓子をもらったが、その中に…」 会長が取り出した菓子袋の中からボロボロになったチョコと、髪の毛が入っていた。 「うわぁぁ〜……」 「「そこまでするとは思ってなかったんだよー!!」」 「いいからそこに座れ」 会長が指差した床に哀れな双子が正座して座った。 そこからの会長の尋問により、薫と光が会長の親衛隊に「会長の好物はチョコだから、あげると喜ぶと思うよ」って言ったことが発覚した。 会長も怒るのが親衛隊ではなく、双子に怒るのが優しいなと思った。多分怒るのにも、その子に関わりたくないから風紀に丸投げするんだろうけど。 やっちゃった子は風紀委員によって然るべき処罰が与えられるんだろうな 「さ、もういいでしょう。時間ですから体育館行きますよ」
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