1年 冬

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その後、オコなゆき先輩を会長と一緒に鎮め、生徒会の集まりも今日は無いと言うことで、早く帰路についた。 帰る方向は皆一緒なため、雑談やら双子と指スマやらをしながら一緒に帰っていたが、俺は途中で違う方向に向かった。 「じゃ、またね〜」 俺が言うとみんな手を振り返してくれた。 各々別れの挨拶を言うと、また寮の方へ歩き出した。 俺が向かうのは病院だ。 毎月定期検診を受けているからだ。 今日はその日。 俺の体はあんまりよろしく無いらしい。 父親が病気の家系らしく、例外なく俺も罹っている。 まあ、いわゆる遺伝子疾患だ。 祖父は写真でしか見たことないし、父親も俺が幼い頃に亡くなったので、俺が罹っていると判明した時も「まぁ、そうだろうな」としか思えなかった。 別に親を恨んだりはしていない。 俺の母は違っただろうけど。 病院には小さい頃は定期的に入院してたし、中学に上がって、病弱と虐められてからはものすごくお世話になっている。 あんまし楽しい記憶ではないから、これ以上思い出さないように蓋をしてバスに乗った。 音楽に浸り、外の雪を見て揺られながら病院前のバス停に向かってバスが発進した。 いつものように、検診終わったらアイス食べて、夜は鍋にしようかな。 1人鍋パもありだな。それパーティではないか。 病院に着くと、一応マスクを付けてから保険証と診察券を受付の人に出し、待合室の椅子に座った。 俺にとっては何気ない穏やかな日常の一コマだった。 しかし、日常ではない異質の存在がいた。 「遥……!!!」 そこには真っ黒な服を着た女性が立っていた。 サングラスと黒いマスクをつけて、黒いコートを脱ぎながらズンズン俺に近づいて来た。 「お母…さん……?」 相変わらず、手や首には安っぽいアクセサリーをたくさんつけている。 「遥!わたし、病院の先生に呼ばれて。何かあったんじゃないかって、心配だったのよ!」 本気でそう思っているのかは分からないが、呼び出されたのは本当なのだろう。 母親が病院に呼ばれることは、幼少期以来初めてのことだった。 少し、嫌な予感がする。 母親も一緒に聞かないといけないぐらい、大事なことなんだろうか。 できれば良い情報であって欲しい。 もう検査は受けなくていいとか。
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