#1「 再会 」

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私は説明を聞きながら、少しだけ顔をしかめた。眉根を寄せ、左手で腹部を押さえる。壇上の司会者の響く声にかき消される中、私の腹部からきゅるる、と音が鳴る。咄嗟に、私は隣に立つ賢人を見やった。しかし賢人は薄暗い中で横に立つ誰か親しい関係者と談笑に(ふけ)っており、口を挟む雰囲気ではない。 「どうしよ…」 私は腹部の着衣を左手でギュッと握った。           *  バタン!と扉を閉める。パーティー会場近くの女性用トイレに駆け込んだ私は、腹部を押さえて痛みに耐えた。
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