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「……松宮さん?」
彼はただそう私に尋ねた。私は旧姓で呼ばれ、驚いて瞬き振り返る。一瞬誰だか分からなかった。相手があの頃とは比べ物にならないほど垢抜けした容姿だったからかもしれない。相手の彼は一見すると、モデルのようなイケメンだった。色白の肌にブラウンがかった黒髪を整え、グレーのスーツを着て、学生時代より一段とスラッと背も高くなっている。高校の頃も女子生徒によく告白を受けている姿を見たことがあったが、その頃と笑顔のまぶしさは全く変わってはいなかった。それどころか“大人“に変貌した彼の姿に、私は一瞬目を奪われる。
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