#1「 再会 」

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 見たことのないそんな彼の顔を想像する。怒るだろうか。失望するだろうか。  ふとその考えを、突然その場に響き渡った『ピンポーン』というインターホンの音が突き破った。我に返って、私はソファーから立ち上がる。ソファーから腰を上げると、こめかみがズキリと痛んだ。一瞬「…うっ」と顔をしかめるも我慢すると歩いて行く。リビングから廊下に出るとそのまま玄関口へと向かい、広々とした玄関口ドアの覗き穴から視線を通す。すると私の脳裏には、ん?と疑問符が浮かんだ。少しの間躊躇(ためら)っていたが、ほどなくして玄関口のロックを解除して扉を開けた。 「ひかりん、元気だったぁ??」 その唐突なハイテンションな礼儀のれの字もない言葉遣いに、私は思わず面食らう。扉の向こうに立っていたのは、大学時代の友人、友奈(ゆうな)だった。大学2年で中退した私とはもう随分と会っていない彼女。
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