#1「 再会 」

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 私は、どうしよ、困った…、と小声を漏らしながらも、友奈をひとまずその場に座らせなければ、と考えた。―――しかし。  直後、何故か誰かが彼女の身体と私の身体の間に手を入れ支えた。一瞬見えた上半身が黒っぽいスーツ姿だったことから、驚いて(しばた)いていると、よっ、というその『誰か』の気合を入れる声が鮮明に耳に入って来る。私は状況に目を丸くする。どうやら友奈が開いたまま立っていた彼女自身の身体が足止めさせていた扉の影から私たち二人のやりとりを偶然通りかかって見かけた彼が助けてくれたらしい。  「彼」新谷柊平は、その体躯(たいく)で軽々と友奈を『お姫様だっこ』状態で抱えると。立ち尽くす私を見やって尋ねた。 「どうします?どちらで寝かせましょうか」
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