#1「 再会 」

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  「…はい、お願いします」 私は受話器越しに答えると、スマホの通話を切った。軽くため息を吐くと、寝室のベッドで熟睡する友奈の姿を見やった。あれから友奈を彼にベッドまで運んでもらい、友奈のトートバッグに入っていたスマホで彼女のご主人に連絡を取り、迎えを頼んだ私。どうやらご主人はお医者様らしく、診察が終わるまで迎えには来れないのだと言う。それまで床の上で良いので寝かせてやっておいて欲しい、と。 「…あの、ありがとうございました」 寝室から出てリビングで何をするでもなく突っ立っていた彼、柊平の後ろ姿が視界に入り、私はお礼を口にしていた。気まずくて、どこか他人行儀に話しかける。
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