#1「 再会 」

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賢人も手を出し握手に応えた。男性の背後には丸テーブルが置かれ、5、6人のグループが、私達を見つめながらワインの入ったグラスを飲み、周囲を見回したりしている姿が見えた。 「これはこれは名塚(なづか)様…、お会い出来て嬉しいです。最近はお忙しいでしょう…」 歓談に花を咲かせる二人の横で、私は目線を下げたまま、心中溜息混じりに立っていた。  今回のこのパーティーは、夫の賢人が建設図案を作成した商業施設の建築完成記念パーティーだった。夫の賢人は一級建築士で、その斬新さの見える機能面にも優れた建築物のデザインは、度々国内でもよくメディアに取り上げられる「建築デザイン賞」を何度か受賞して来た。才能の塊である彼の人脈は広い為、私はよく招かれるパーティーに、彼と共に参加するのである。
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